「ウチの管理費は高い」??妥当性知るポイント3つ

管理費は、マンションごとに金額が異なります。
【マンションごとに異なる管理費  高い/安いはどう決まる? 3つの要素を解説!】

でお伝えしているように、その多寡を決める要素は主に3つ。

これを踏まえた上で、「ウチの管理費、高いのでは…」と思われた方にむけて、もう1歩踏み込み、管理費の妥当性を知るための手掛かりをお伝えします。(監修・川島崇浩マンション管理士)

「高い」と感じるのは「管理委託費」

本題に入る前に、語句の定義を整理しておきます。

管理費とは、水道光熱費や清掃、点検などのメンテナンスに充てる費用。この中には、マンションの管理業務を委託している管理会社に、業務の対価として支払う「管理委託費」が含まれます。

「管理費が高い」という文脈で用いられる「管理費」は、「管理委託費」を指している場合がほとんどです。

なお、管理委託費には

●事務管理業務

●管理員業務

●清掃・各種設備(給水ポンプ、消防設備など)の点検業務

などに係る費用が含まれます。

委託先の管理会社が、〇〇系である

では、本題に入りましょう。

「管理委託費が高い」と感じた方がいたとすると、その背景は主に3つ考えられます。

1つめが、「委託先の管理会社がディベロッパー系(以下、デベ系)の管理会社である」こと。

管理会社は、

・デべ系列の管理会社

・デベ系列以外(独立系など)の管理会社

の2つに大別されます。

前者は、そのマンションを新築したディベロッパーの系列グループの管理会社。

後者は、ディベロッパーが実施したコンペによって選ばれ、販売前に決まっているのが一般的です。

前者のデベ系管理会社の場合、管理費が高めに設定される傾向にあります。理由は、管理業務としてフルスペックの内容を盛り込むから。

充実したサービスを提供すること自体はいいのですが、実際の居住者ニーズと乖離し、過剰になっている場合が少なくありません。

例えば日常の清掃業務の人員が多過ぎたり、頻繁な手入れが必要ないLED照明なのに、照明設備の清掃業務が従来通り行われていたり…。

このようなケースであれば、管理委託費の削減に向けて、見直す余地があると言えます。

…こう書くと、「最初から独立系の管理会社であれば問題ないのでは?」と思われてしまうかもしれませんが、一概にそうとは言えません。

独立系管理会社の場合、反対に『必要な管理サービスが初期設定されていない』ことがあるのです。理由はコンペによって競わされることにより、ディベロッパーにコストダウンを迫られるから。


実際の例としては、「植栽の維持管理の回数が極端に少ない」、「機械式駐車場に付随する排水ポンプの清掃が管理業務に含まれていない」――など。





これらのケースでは、必要に迫られて後からサービスを追加せざるを得ないので、管理費が値上がりすることになります。

過剰なサービスを後から削るか(デベ系)、必要不可欠なサービスを後から追加するか(デベ系以外)。どちらがいいという話でもありませんが、いずれにしても労力が掛かります。

手数料上乗せで総額かさむ

2つめは、各種設備の保守点検や維持管理が、管理会社経由で発注されているケース。管理組合と各業者との直接契約ではない、ということです。

とても多いケースですが、この場合は保守点検に係る費用に管理会社の手数料(管理料)が上乗せされるので、総額がかさみます。



管理委託費を削減するために、これらを業者ごとの直接発注方式に切り替えるのは一案です。





基本的に管理会社には、各種設備の保守点検・維持管理に関する専門的なノウハウがありません。そのために、それぞれの専門業者に各種業務を再委託するパターンが一般的です。

それ自体はおかしなことではありませんが、「売上を増やす」という企業としてのスタンスを優先し、手数料の名目でマージンを管理委託費に取り込んでいるのです。

管理会社が手数料を受け取る根拠としては、『保守点検や維持管理に関わるトラブルが発生した際に、一次対応する窓口』といった役割が挙げられるでしょう。

しかし実際には、そうしたトラブルの解決は再委託された専門会社が行っており、大きなトラブルというのも稀なことです。

「管理できないもの、管理していないものを管理委託費に含めない」。これが基本ではないでしょうか。

〝実際には高くない〟ケースも

3つめは、「実際には高くない」ケース。

どのような管理サービスが提供され、それにどれほどの価値があるのかを把握していないことにより、「管理委託費が高い」と思い込んでいるパターンです。

「どう考えても管理委託費が高い」、「支払っている金額に見合うだけの仕事をしてくれていない」――。

管理組合がマンション管理のコンサルティングを活用するときのきっかけは、大体こんなところです。

しかし、各マンションにおける管理サービスの品質は千差万別。

例えば、管理規約や長期修繕計画の見直しといった業務や、細かい所では総会・理事会資料の印刷・郵送代といった諸経費が、管理委託費に含まれているケースもあれば、含まれておらず別途有償で請け負うケースもある、といった具合です。

仮に、2つのマンションにおける管理委託費が同額だったとすると、前者(=諸経費が含まれている)のマンションの管理委託費の設定には妥当性があり、後者(=諸経費が含まれていない)のマンションの管理委託費は相対的に高い、ということが言えます。

管理委託費の総額を見て「高い」と感じたとしても、早急にそうと決めつけるのではなく、内容を細かく調べる必要があるのです。

安易なリプレイスは避けるべし

「管理委託費が高い」という相談を受けると、すぐにリプレイス(管理会社の変更)を勧めるマンション管理コンサルタントは少なくありません。しかしこれには、注意が必要です。

今から2~3年ほど前まで、リプレイスは流行といっていいほど盛んに行われていました。

しかし2018年、通称「建サショック」が起き、状況は一変します。

住友不動産系列の管理会社大手、住友不動産建物サービスが、管理業務を受託している一部の管理組合に対して管理委託費の値上げ要請を、更に不採算だった管理組合に対しては契約辞退(解約)の申し入れを行った出来事です。当時、マンション管理業界で大いに話題になりました。

そしてこれを機に、多くの管理会社が追従を始めています。

背景にあるのが、マンション管理業界の慢性的な人手不足。フロント担当者や管理員、清掃員などの現場スタッフが、足りていないという実状があります。

限られた人員を元手にサービスレベルを維持していくため、採算の合わない管理組合との契約を切るという判断をくださざるを得ない現状もあるようです。

こうしてマンション管理業界の実状が明らかになったことで、管理組合側が安易な値下げ要請に基づきリプレイスを行う風潮は、下火になりました。

それでも、リプレイスに値する=提供されるサービスに支払う対価として妥当ではないケースは、潜在的に多いと思われます。

まずは、それを見極めるための徹底した管理品質の調査が重要だと言えるでしょう。











ライター 鹿島 香子


大学卒業後8年半、不動産業界紙「住宅新報」で記者として働く。
主に中古住宅流通、行政系の記事を担当。
2児の出産・育児を機に現在はフリーで活動。