マンションごとに異なる管理費  高い/安いはどう決まる? 3つの要素を解説!

新築・中古を問わず、分譲マンションの購入後に毎月必ず支払うのが、管理費と修繕積立金。物件の購入価格だけでなく、これらのランニングコストも考慮して資金計画を立てる必要があります。

管理費も修繕積立金も、金額は一律ではなくマンションによって様々。今回は、水道光熱費や清掃、点検といった維持管理に充てる費用である管理費に焦点を当て、その実態に迫ります。いろいろな要素によってその多寡が決まりますが、主要な要素は3つです。(データ提供はすべて東京カンテイ)

【23区の平均額は千葉市の2倍】

2019年の首都圏における管理費平均額は、1万9085円でした。主要都市別に見ると、

・東京23区… 2万2911円

・横浜市…  1万6381円

・さいたま市…1万5333円

・千葉市…  1万1819円

同じ首都圏でもバラバラであり、トップの23区は千葉市の2倍近い額になっています。

管理費は、基本的にマンションの新築価格と連動します。新築価格の設定に際して、最大の拠り所とされるのは「立地」。いつの時代も、政治経済の中枢である都内の新築価格が最も高い水準にあります。管理費も、これに準じるということです。

また、都心一等地など立地に恵まれたマンションの中には、グレードの高い設備・サービスを備えた高級マンションが多数存在します。後述しますが、これらのマンションが管理費平均額を更に押し上げる働きをします。

なお、2019年の他都市圏の主要都市における管理費平均額は次の通りです。

・大阪市…1万2160円

・神戸市…1万1913円

・京都市…1万5456円

・名古屋市…1万2800円

・仙台市…1万1867円

・札幌市…9786円

・広島市…8511円

・福岡市…8456円

【こんなにある!タワー特有の設備】

次に「戸数規模」という角度から、2019年の首都圏における管理費平均額を見てみましょう。

・「50戸未満」 …2万3111円

・「50戸以上」 …1万7959円

・「100戸以上」…1万6099円

・「200戸以上」…1万5303円

・「300戸以上」…1万3082円

一般的に、管理費は総戸数が多いほどスケールメリットが働き一戸当たりの額が安くなるとされますが、それがデータにも顕著に表れています。

しかし戸数規模がより多くなると、逆に一気に高額になります。

・「500戸以上」…2万2776円

「50戸未満」の小規模マンションの管理費と、ほぼ同じ水準です。

理由は、「500戸以上」のマンションの多くがタワーマンションだからです。

都心の高級マンションと同様、タワーマンションには、一般的なマンションにない設備やサービスが付帯されています。それらに係る維持管理コストが、管理費を押し上げているわけです。

具体的にどのような設備・サービスが付帯されているのでしょうか。

それらの一部を外す管理組合が増えている現状も交えて、一般社団法人・日本マンションサポート協会の川島崇浩代表理事にご解説いただきました。ソフト(サービス)・ハード(設備)に分けてご紹介します。

<高額物件に特有のサービスの例>

〇マンションに併設されている店舗(カフェ、コンビニなど)

誘致や運営を委託する事業者(管理会社などが兼ねる場合もある)に支払う委託料が、管理費から捻出されます。店舗の人件費の一部も、この委託料で賄われます。

川島代表理事によると、最近では管理費の削減を目的に、併設店舗の廃止を検討する管理組合も増えているとのこと。ただ、「店舗が併設されているからこのマンションを買った」「店舗を併設していることがマンションにとってアピール材料になる」といった理由で廃止に反対する区分所有者も多く、合意形成が難しいようです。

〇警備員、管理人、コンシェルジュ

大規模マンションや、港区・千代田区といった都心一等地のマンションでは、警備員や管理人を複数人雇うケースが少なくありません。自室まで荷物の持ち運びを手伝うポーターや、車の出庫時の専門要員を雇っているマンションもあります。

<高額物件に特有の設備の例>

〇ダストドラム ※主にタワーマンションに設置

超高層という物理的特性から、タワーマンションでは各階にごみ置き場が設置されているのが一般的。清掃員が各階のごみ置き場からごみを収集し、非常用エレベーターで下まで運びます。ダストドラムは、そうして運んできた大量のごみを圧縮する機械です。

〇ごみ置き場の脱臭装置 ※主にタワーマンションに設置

タワーマンションは、総戸数に応じてごみ置き場も大型です。ごみが多い分異臭リスクが生じるので、脱臭装置は欠かせません。

〇ディスポーザー

キッチンシンクの排水口に設置する生ごみ粉砕機のこと。ディスポーザーに投入された生ごみは、粉砕されそのまま水に流すことが出来ます。ただし共用部に、生ごみを微生物などで分解する専用処理槽の設置が必須。これがないと下水道法に抵触してしまいます。また、共用部にディスポーザー専用の縦管も必要です。専用処理槽、専用縦管の保守点検が必要です。

〇ゴンドラ ※主にタワーマンションに設置

ガラス清掃時に使用します。屋上に常設しているマンションが多いです。

〇内廊下のエアコン ※主にタワーマンションに設置

内廊下のマンションではエアコンを設置しているケースが多く、その場合は保守点検に加えて清掃、電気代といったコストがかかります。

〇水景設備

エントランスや中庭に設置される、噴水や人工池など。豪華さを演出しますが、保守点検や清掃にはそれなりのコストがかかります。年間100万円かかるマンションもあります。

〇その他、近年増えている設備・施設…宅配ロッカー、キッズルーム

宅配ロッカーは扉の点検などに、キッズルームは遊具の保守・点検にコストがかかります。

【築古なのに高い!〇〇〇期の管理費】

ここまで、「立地」「高級・タワーマンションか否か」が管理費の額を左右する要素だとお伝えしてきました。

管理費を決める主な要素、最後の1つは「年代」です。

次のグラフは、2019年に東京23区で流通した中古マンションの管理費平均額です。

これによると、額が最も高いのは「築1年」の2万5211円。それから「築5年」~「築10年」までは概ね1万8000円前後、「築10年」~「築25年」までは概ね1万6000円前後で推移しています。

「築26年」~「築31年」の間では、「築30年」の2万1867円を頂点にして大きな山を描くように推移しています。これは、ちょうどこの年代が平成バブル期に当たり、高額な新築価格に連動して管理費も高く設定されたためです。

そして平成バブル期より前の「築32年」以前は、1万6000円前後で安定推移しています。

平成バブル期を特殊要因として除くと、川島代表理事は築年数の古いマンションは築浅のマンションと比べて管理費が安い傾向にある、と話します。

理由は、設備。

例えば築10年のマンションでは各戸に火災報知器がついていますが、築45年のマンションは共用部に1つです。

これは、2006年に消防法が改正され、火災報知器の住戸ごとの設置が義務付けられたためです。

近年、高級マンションやタワーマンションに限らず、マンションに付帯する設備の種類が増加傾向にあります。「共用部の設備といえばエレベーターや給水設備、植栽くらい」(川島代表理事)だった古いマンションの方が、相対的に管理費が安価なようです。


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細かくは物件ごとの特性によりますが、大まかに

「立地」

「高級・タワーマンションか否か」

「年代」

が管理費の額を左右します。

これらを基に、現在の住まいや目当ての物件の管理費の妥当性をぜひ推し量ってみてください。












ライター 鹿島香子

大学卒業後8年半、不動産業界紙「住宅新報」で記者として働く。
主に中古住宅流通、行政系の記事を担当。
2児の出産・育児を機に現在はフリーで活動。