不動産取引をお願いするならやっぱり大手?
中小に頼むメリットとは
あなたが物件の購入や売却という不動産取引を考える時、誰を頼るでしょうか?
多くの人は、大手の不動産会社をまず頭に思い浮かべるでしょう。例えば、誰でも名前を聞いたことのある住友不動産や三井不動産、あるいは最近躍進が著しくてCMもバンバン打っている東急リバブルなどの大手企業です。

不動産取引にはとても大きなお金が動くので、大手の不動産会社にお願いしたいという気持ちも良く分かります。特に不動産取引に不慣れで、初めて売買に関わるいう方であればなおさらでしょう。
大手企業に不動産取引を依頼する最大のメリットは、やはりそのブランド力を背景とする信頼感です。名のしれた大手企業が個人消費者を騙したりすることはなかなか考えられませんし、実際に多くの実績を積んでいるからこそ、大手として名を馳せているのですから。
また大手を頼る別のメリットとして、抱えている物件や顧客の数の多さが挙げられます。
大手不動産会社は数多くの物件を扱っているため、自分の条件にあった物件と巡り会える可能性も高くなるというわけ。特に今のような売り手市場の時には、とても魅力的に映ります。そのため、不動産取引に不慣れな人だけではなく、ある程度物件を絞り込んでいて、自分でしっかりと判断を下せるという人も、大手を頼るメリットは大きいと言えるでしょう。
まとめると、大手企業に不動産取引を頼むメリットは以下のようになります。
【大手不動産会社のメリット】
- 大手ならではのブランド力・信頼感
- 扱っている物件が多い
ではやはり、不動産取引は大手に頼むのが一番良いのでしょうか?
実は、そうとも言い切れないケースも多数存在します。
大手ではなく、中小の不動産会社(私のような不動産フリーエージェントも、当然ここに分類されます)のメリットは、フットワークの軽さを活かして、顧客にとって最善の取り引きを提案することができる、ということです。
ただ、それだけではちょっと分かりづらいかもしれませんね。
そこで私が最近、実際に対応したケースをご紹介しましょう。
大手では満足できなかった事例
以前からお付き合いのある方から、物件の買い替えを検討しているので相談に乗ってほしいというお話をいただきました。
その方は実際に大手不動産会社の取り扱う物件を内見しており、それが気に入ったので購入したい。しかし、資金面で不安があるというのです。
【相談者の物件買い替え状況】
- 現在のマンションの残債:2,540万円
- 売却評価額:2,750万円
- 新規購入希望物件の価格:4,580万円
- 諸経費:360万円
- リフォーム費用:600万円
- 自己資金:100万円(手付金)
- 年収:820万円
- 借入希望額:5500万円
この方は自己資金額が100万円で、諸経費、リフォーム費用も含めたほぼ総額を住宅ローンを利用して用意したいと考えていました。相談者の年収や職業といった属性から考えて、普通であれば住宅ローンを組むのは難しくはありません。
しかし、今回のケースは物件の買い替えです。現在住んでおられるマンションの残債が2,500万円ほど残っているのがネックとなりました。新規の住宅ローンだけならば問題ないが、一時的にであれ住宅ローンを二本、総額で8,000万円を超えてしまうことが懸念材料となったのです。
そのため、大手不動産会社が提携している都市銀三行に依頼した住宅ローンの審査では、二行は既存のマンションのローンを完済することが条件となりました。
それならば、現在住んでいるマンションを売却してから、新しい物件を購入すれば良いじゃないかと思われるかもしれませんが、この方はもうすでに欲しい物件が見つかっています。マンションを売却するまでに、希望物件を他の人が買ってしまう心配があるのです。
もう一つの都市銀行は、他行よりも高い金利(他行0.47%のところ、0.725%)と、新規物件の購入後でも良いが、既存マンションの売却をその大手不動産会社が請け負うことが条件として提示されました。
これも、相談者にとっては難しい条件となりました。
金利が高いこともそうですが、マンションの売却をその大手不動産会社の専属にしてしまうといわゆる「両手仲介」となり、依頼者にとっては売却額が下がってしまうなどの条件面での不利が考えられるからです
この点についてさらに詳しくは、不動産エージェントは「物件の囲い込み」をどう見るべきか?をぜひご覧ください)。
こうした事情で、この方は私に相談に来られたわけです。しかし不動産業界では他社が扱っている案件に関しては手を出さない、という暗黙の了解があります。この方はすでに大手不動産会社を頼って内見を行っていますから、私がその新規物件に関わるのは難しい。とはいえ、プロのエージェントとしてタダ働きするわけにもいきません。そこで、今住んでいるマンションの売却を私に任せていただけるのなら、という条件でお手伝いをすることになりました。
問題は、住宅ローンに関する条件です。
そこで、その大手不動産会社が提携している都市銀ではなく、地方銀行に住宅ローンの審査をお願いしました。
結果、以下のような条件での審査が下りることになります。
<某地方銀行審査結果>
- 金利:0.47%
- 条件:現自宅に順位2位抵当権設定。現自宅売却後既往ローン完済確認資料の提示

つまり、金利は都市銀と同じく妥当なもの。そして既存のマンションを売却するのも、希望物件に引っ越した後で構わない、という審査結果となったのです。
相談者はこの提案に心から感謝してくださり、無事に希望物件を購入することができました。
小回りの利いた顧客重視の提案こそが、中小を頼る最大のメリット
今回の事例で、大手不動産会社が顧客にとって納得のいく提案を出すことができなかったのはなぜでしょうか?
それは乱暴を承知で一言でいうと、面倒くさいからです。
もしかすると大手不動産会社の担当者も、地方銀行に相談するともっと良い条件が引き出せるかもしれない、というアイディアが頭の中にあったかもしれません。
しかし、一個人にわざわざそこまでのことはしない。
それは提携している都市銀との関係からかもしれませんし、その条件を受け入れられないならば、他の人に売れば良い。そして実際にそうできる、と考えていたのかもしれません。
もしくは、自分の責任の範囲内だけで仕事をしていればお給料ももらえるため、余計な手間を惜しんだのかもしれません。
実際のところどうなのかは、私には伺い知ることもできません。しかし一つ確かなのは、大手不動産会社が依頼者の納得できる条件を提示できなかった、ということです。
では逆に、私が相談者の満足する条件を提示できたのはなぜでしょうか?
それは、あくまでも相談者の側に立って、彼が本当に望むコトを実現させるにはどうしたら良いか?を考えて実行した結果です。
自分の都合や望みではなく、あくまでも相談者・顧客に寄り添って彼らの幸せを追求する。そのためにはどういたら良いかを考えて地方銀行に住宅ローンをお願いした結果、相談者の望み通りの条件を提示することができたのです。
小回りの効く、顧客重視の対応が最良の結果をもたらしたのです。
そしてこれは不動産フリーエージェントの働き方の本質であり、私たちの本望でもあります。
中小は大手のようなしがらみも少ない(全く無いとは言いませんが)。その分、小回りが利きます。不動産フリーエージェントは中小だからこそのフットワークの良さを活かして、顧客のための最善の方法は何か?を追求することができるのです。
もちろん最初に述べたように、大手不動産会社にお願いするメリットもあります。
しかし、大手で出された条件に不満を感じるなら、中小に相談してみるとより良い条件を引き出すことができるかもしれません。
そしてそのために、不動産フリーエージェントとしてはお客様から困りごとの相談を受けた時に、いつでも最良のプランを提示できるよう、普段から知識の習得やスキルアップに励んでいなければなりません。
そうすることによって自分のブランド力を高め、大手不動産会社に負けないほどの信頼感をお客様から勝ち取ることができるのです。
不動産フリーエージェントはいつでも、あくまでもお客様に寄り添った提案を心がけています。
もしもあなたが不動産取引で自分のことを第一に考えてくれるような対応を望んでいるなら、ぜひ一度不動産フリーエージェントに相談してみてください。
そして不動産フリーエージェントとしては、自分の働き方にプライドを持って、これからもお客様重視の対応と提案を行っていきたいものですね。
この記事を書いた人
不動産エージェント 藤木 賀子

スタイルオブ東京(株)代表。
25歳で建築業界に入り、住宅・店舗・事務所・外構の営業・設計から施工まですべてを経験。
世界の建築に興味があり、アジア・北米を中心に建築を見て回り、いい家を追求すべく世界の家を研究。結果、いい家とは『お客様の価値観』にあることに気づき、自分が作るよりお客様の代理人としてお客様の想いを可視化・具現化・実現化することが出来る不動産プロデュースの道に。
これまでの経験とスキルを、不動産エージェントとして活躍したい人に向けて発信中。
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